徳風は樹木にまつわる困りごとを智恵と技術とチームワークによって解決するプロフェッショナルの集団です。
樹や森林は二酸化酸素を吸収して温暖化を防ぎ、水を蓄え、私たちを癒してくれる不可欠な存在です。一方で、樹木が成長するとともに、大きくなりすぎて建物や施設に覆いかぶさったり、傾いて倒れる危険が生じてくるなど、人の暮らしとの共存が難しくなる場面が増えてきています。
生命や財産を危険にさらす前にその樹を適切に処理し、安心して暮らせる環境を取り戻すこと、それが徳風のミッションです。
一方で、植物と言えども生命が宿る樹木を伐採することはひとつの命を終わらせること。私たちはその責任の大きさと樹木への敬意と畏敬の念を常に心に留めて作業しています。だからこそ、伐採した木の活用や販売によって、長年身近な存在として親しんできた樹木の生命を最後まで意味あるものとして活かます。
チェーンソーを使った伐採技術はもちろんのこと、ロープを使って安全に樹に登る技術、さらに高所作業車やクレーン・重機などの機械まで、場面に応じて自在に使いこなせるのが徳風の特徴です。
住宅や寺社仏閣のすぐ近くの樹、高所作業車やクレーンが入れない住宅密集地に立っている樹、急傾斜地に立っている樹などであれば、直接木に登るなどして、時には根元ではなく樹の上から切っていきます。
私たちのような方法で樹を切ることを「特殊伐採」と呼びます。
生命や財産を守る特殊伐採に失敗は許されない。
だからこそ、私たちは智恵を絞り、日々技術を磨いています。
地球上に1本として同じ樹木はありません。
高さや太さ、枝ぶりは1本ずつ異なり、重心の位置も違います。ひとつひとつの要素を見極めて、用いるロープや道具を選び作業工程を決定します。
特殊伐採を中心とした組織でありながら自社で高所者業車や重機を所有しているのも私たちの強み。
使える場所では機械も使いながら、安全と作業コストの削減に取り組んでいます。
本来、樹木と人間は共存し共生すべき存在です。
けれど、どうしてもうまく共生できなくなってしまった時、徳風の出番です。
樹木のプロフェッショナルとしてお客様の困りごとを解決し、伐って発生した材は出来る限り資源として活用するため智恵と技術とチームワークを磨き続けています。
私が株式会社徳風を設立したのは2015年のことです。
地元岩手県大船渡市も大きな被害を受けた東日本大震災がきっかけでした。
それまでは約15年間、森林組合の職員として間伐など山の中での伐採の仕事をしてきました。
震災直後、森林組合の重機のオペレーターとして津波で被災した地域で遺体の捜索やがれき撤去の仕事に従事する日々を送りました。
森林組合が本来の山林整備の事業に戻ることになった時、私はたとえ自分一人になったとしても被災した地元のために仕事をしたいという想いを抑えきれなくなり、退職を決意したのです。
「被災し困っている人たちがいる限り、その人たちの力になりたい」
その想いを周囲に伝えるうちにさまざまな人の縁がつながり、一個人事業主としてがれきの片付けや選別に携わることができるようになりました。
「がれきがなくなってやっと家があったところが分かった」
「どこから手を付けていいのかもわからなかったけど助かった」
そういった言葉をかけてもらい、自分の仕事が誰かの助けになれることを実感したのです。
一方で、過酷な日々の中、心身共に不調に陥ることもありました。
気分転換のために1人で山に登った日のことです。
残雪が日光に反射しキラキラと光る山の中で芽吹き始めたばかりの木々の緑に目を奪われ、自然の美しさ樹木のたくましさに自分自身が癒されるのを感じました。
そこで初めて、山の中で働く林業はなんてすばらしい仕事なんだ、と気が付き、自分の進んでいく道はやはり林業しかないのだ、樹木に生涯関わって生きて行こう、とこれからの人生の道標を見たような思いがしました。
その体験を機に、「林業の徳風」として樹木や森林にかかわりながら困っている人たちの助けになれる仕事をしていこうと決意しました。
その際に決めた屋号が「徳風」です。「徳」という私自身の名の一文字を充てることで何があっても事業に責任を持つという志を込めるとともに、「徳」には修養によって得られる品性や人徳だったり神仏からの加護や恩恵の意もあります。「風」とは、風習、風体、風格など目には見えない人の精神性を表します。樹間を軽やかに移動する特殊伐採のイメージとも重なりました。
「塩害木」と呼ばれる津波を被り倒れる危険のある立木の伐採の仕事から始めました。リアス海岸の三陸は岩場が多く急傾斜地も多いのが特徴です。山林の中での伐採とは違う技術を身につけるため遠方で開催される研修に参加し、研鑽を積んできました。技術を積み重ねていく中で岩手県内で高い志と技術を持った仲間と出会う機会にめぐまれ、彼らの力を借りながら、1人で始めた徳風は企業としての歩み始めたのです。
「誰かの助けになれる仕事がしたい」
その初心は月日がたっても変わることはありません。
がれきの中での「ありがとう」の言葉を胸に仲間たちと共に歩んでまいります。